デイ・トリッパー

日帰り温泉の話やら、近県へのドライブなど日々の暮らしの中で見聞きし、感じたことを…。

近長谷寺

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GWも後半に入り、我が家の前の旧街道もいつにもまして車の行きかう音がたえない。幸い寒さも峠を越したらしく、降り注ぐ日ざしのあたたかさに誘われてどこかにでかけたくなった。何処に行こうか。一応観光地なので、どこにいっても人出が多い。あまり人のいない田舎道を走ろうとコペンを出した。

オープン・カーにはいいドライブ日和。もちろん無蓋走行である。市役所前のあたりから早速渋滞が始まった。外宮が近くにあり、今年は二十年ぶりの遷宮とかでTVも特別番組を連日流している。そのせいか、人の数が半端でない。あまりにも進まないので、近道を抜けようと外宮参道に入ったら歩行者天国と勘ちがいした観光客が横目でにらんでくる。「ここは歩行者天国ではありませーん」と、声に出しながら通り抜けた。

駅前を抜けたら、道はがらがら。行きつけのGSで給油を済まし、宮川沿いを西に走り出した。佐奈にある伊勢芋を使った麦とろ飯を食べようということになった。田植えを終えたばかりの田圃の間を縫うように車は走る。

ちょうど昼時だったが、すぐ席に案内された。定番メニューの「いろどり御膳」を注文したが、TPPの影響か、円安のせいか、うずらの卵がつかなくなった。たっぷりの伊勢芋をおろしたのに、ねぎとろ丼と伊勢うどん、それに小鉢類が数種、山芋入りの豆腐がついて1300円。うずらの卵分が値上げになる理屈だ。特製鋏で上部をカットする楽しみも奪われたわけだ。ねぎとろをのせた飯の下半分を残しておいて、そこに山芋を入れ、とろろ飯に。伊勢うどんも半分は残し、そこに山芋を入れて、とろろうどんに。伊勢うどん特有の溜り醤油に山芋がからんでなんともいえない味わいになる。妻がデザートに注文したソフトクリームは、季節限定の塩漬けした桜葉入り。塩味がきいた桜餅風味のソフトだった。ちょっと贅沢だが、どこにもでかけないGW。これくらいはいいだろう。

腹もふくれたところで、近くの丹生大師に。古びた山門に新緑が差し掛かり、いい雰囲気になっていた。境内を散策したあと、遊歩道に誘われ、かつて水銀を掘った坑道跡まで歩いた。奈良時代のものというが、人一人入るのがやっとの穴が、今も山腹に空いていた。山の上まで登ると、ボート乗り場があり、そこから狸掘りの坑道を通って目の前の水路に出られると看板に説明が書いてあった。しかし、坑道の出口のあたりに何やら動くものがある。鎌首をもたげた一匹の蛇が蛇行しながら水路を流れてくる。「あの模様、やまかがしみたいよ。」と、妻が言った。くわばらくわばら。蛇の注意書きも書いておくべきだ。

駐車場に戻り、産直の野菜などを並べた施設で買い物を済ませ、車に乗った。屋根は閉めたままだ。すぐ近くにある近長谷寺に向かった。どうせ、駐車時は閉めなければならない。標識に従って、山道に入ったのはいいが、どんどん上っていくではないか。止まったところは山の中。寺の姿は影も形もない。駐車場の横から登山道が続いている。『修験道の道』という看板が立っている。悪い予感がした。せっかくここまで来たのだから、と山道を登り始めた。とんでもない急坂がジグザグに山の上まで登っている。先は見えない。すぐに汗が出てきた。休憩を入れながら二十分くらいで寺が見えた。意外なことに人声がする。受付に人がいるのだ。本尊十一面観音を拝観するためには拝観料二百円を徴収するらしい。そのための人員配置か。人里はなれた場所で俗な思いをさせられるものだ。それにしても、物好きにこんな山道を登る人が一日何人いるだろう。受付は住職の家族だろうか。古びてはいるが山の中に建てられた寺としてはなかなかの大きさである。裏に庫裏がつづき、障子が開いていたから、ここに住んでいるのかもしれない。寂しくないのだろうか。

寺の裏に城跡につづく登山道がまた続いていたので、やはり登ってみた。さらに急峻な階段がつづいた。山頂からの眺めを楽しみに登ったのだが、繁りに繁った雑木のせいで見晴らしは少ししかきかなかった。誰か草刈をしてくれたら、いい眺望が楽しめるはずだが。

駐車場に年配の夫婦がたたずみ、登ろうかどうか躊躇していたようだったので、プッシュしてあげた。男性のほうが、その気になって先に立って歩き始めた。しばらく考えてから女性が後に続いた。車に乗ったら、雨が当たりだした。山道で降られないといいが。

普賢寺の標識も発見したが、今回は見送った。またという日もあるだろう。今日の散歩はもう充分だった。