marginalia

読んだ本の話や一緒に暮らす猫のこと、それと趣味ではじめた翻訳の話など。

2011-01-01から1年間の記事一覧

『世界終末戦争』 マリオ・バルガス=リョサ

ずっと絶版だった小説が、作者のノーベル文学賞受賞によって新たな版として刊行された。これまで読みたくても手が出なかった読者には何よりの吉報だろう。それほどに、この小説は面白い。忽然と現れた「聖人」によって、ブラジルの奥地に共和国の支配の及ば…

『チボの狂宴』 マリオ・バルガス=リョサ

2010年にノーベル文学賞を受賞したペルーの作家、マリオ・バルガス=リョサが、2000年に発表した“La Fiesta Del Chivo”の邦訳。直訳すると『山羊の祭』。なるほど、表紙には山羊の角を生やした黒衣の男の姿が描かれたルネサンス時代のフレスコ画『悪…

雪見露天風呂

いよいよ明日からは仕事。連休も最後なので、温泉にでもいくことにした。その前に一つ仕事を片付け、玉城ICから高速に乗った。初めは近くの多気にある温泉を考えていたのだけれど、せっかくの無料区間。もうちょっと走りたくなってきた。久居で降りて榊原…

『リトル・シスター』レイモンド・チャンドラー

村上春樹の書く小説も、他の作家の書いたミステリもあまり読まないのに、村上訳のチャンドラーだけは出るたびに読んでしまう。単にチャンドラーのファンというだけかもしれない。そうでないのかもしれない。村上訳が出たことによって、チャンドラーの位置づ…