marginalia

読んだ本の話や一緒に暮らす猫のこと、それと趣味ではじめた翻訳の話など。

2012-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『哲学の起源』柄谷行人

社会構成体の歴史を見るとき、マルクスの所謂「生産様式」から見ていく見方では理解することが難しかった近代以前の社会や宗教、ネーションといった上部構造とのつながりが、同じく経済的土台である「交換様式」という観点から見ればよく分かるのではないか…

『火山のふもとで』 松家仁之

これがデビュー作というから畏れ入る。編集者という経歴のなせるわざか、よく彫琢された上質の文章で綴られたきわめて完成度の高い長編小説である。 1982年、大学卒業を目前にした「ぼく」は、村井建築設計事務所に入所がきまる。所長の村井俊輔は戦前フラン…

『2666』ロベルト・ポラーニョ

A5版二段組855ページというボリュームを持つ超巨編。かなり無理して要約すれば、ベンノ・フォン・アルティンボルディという小説家をめぐる物語といえよう。作家は亡くなる前に全五章に及ぶ長編の一章を一巻とした全五巻の形で刊行するよう家族に言い残したと…

紅葉

日課になっている散歩の途中、博物館に向かうゆるやかな傾斜を見せるアプローチの右手に。