marginalia

読んだ本の話や一緒に暮らす猫のこと、それと趣味ではじめた翻訳の話など。

2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ハリス・ツイード

今年はどうしたことか、ハリス・ツイードが流行りらしい。テレビの司会者や若い男優までカントリー調できめている。毎年着ているツイードではあるが、誰も気にとめてはくれなかった。今年なら少しはわかってくれるかもしれない。というわけで、今日のお出か…

種まき権兵衛の里

新聞に紅葉が見頃という記事が出ていた。天気もよし。ここ何日かの寒さも嘘のように消えている。google mapでルート検索すると高速で一時間、下道なら一時間半の距離だ。高速を使うなら軽のコペンのほうが有利だが、下道で行くなら147でもいい。時間だけ…

第43章

いつのまにかキャンディーが、飛び出しナイフを手にカウチのそばに立っていた。話を聞いていたのだろう。マーロウにそれまでの態度を詫びた。何も手を出すな、というマーロウの言葉にしたがい、ナイフをわたす。警察に連絡するべきだというスペンサーを制し…

アディダス・カントリー

履きなれた靴というのは何物にも代えがたい。まして、それがドライヴィング・シューズであった場合。車を運転しなかった頃には、デザート・ブーツやワーク・ブーツといった長靴から、モカシン、サンダルに至るまで、ずいぶんいろんな靴をはいてきたが、自分…

アディダス・カントリー

履きなれた靴というのは何物にも代えがたい。まして、それがドライヴィング・シューズであった場合。車を運転しなかった頃には、デザート・ブーツやワーク・ブーツといった長靴から、モカシン、サンダルに至るまで、ずいぶんいろんな靴をはいてきたが、自分…

散歩の途中で

昨日買ったばかりの中折れ帽をかぶり、首にはインド綿のスカーフを巻いた。いつもの散歩道だが、今日はめずらしく財布と携帯をポケットに入れた。妻のコペンがドック入りしているので、電話が入り次第迎えに行かねばならない。 財布の方はというと、近所のパ…

『作者を出せ!』デイヴィッド・ロッジ

原題は“ Author, Author ” 。つまり『作者、作者』の意味で、劇の幕が下りて拍手が鳴り止まず、カーテン・コールに作者の登壇を呼びかける観客の掛け声。もっとも、それがブーイングの声といっしょにかかるときは、「作者を出せ!」つまり、「責任者出て来い…

『沈むフランシス』松家仁之

『火山のふもとで』で鮮烈なデビューを果たした松家仁之待望の第二作。期待にたがわぬ出来映え、といいたいところなのだが、前作に比べると、よくできた小品という印象が強い。相変わらず叙述の技巧は冴えわたり、読む快感を堪能できる仕上がりなのだが、前…

『絶倫の人』デイヴィッド・ロッジ

ジェローム・K・ジェローム、イーヴリン・ウォーの系譜に連なる英国滑稽小説の名手デイヴィッド・ロッジの手になる伝奇小説ならぬ伝記小説。しかし、名うてのロッジの手にかかる人物が、『タイムマシン』、『透明人間』などのSF小説作家として知られるあ…