marginalia

読んだ本の話や一緒に暮らす猫のこと、それと趣味ではじめた翻訳の話など。

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『ビッグ・ノーウェア』上・下 ジェイムズ・エルロイ

1950年を迎えた深夜、ウェスト・ハリウッド出張所に勤務する若い保安官補ダニー・アップショーは、男の死体発見の報を受け現場に駆けつける。被害者は全裸で両眼を抉り取られ、腹部には咬み跡が残り、背中には無数の切り傷があった。ダニーは独自に犯罪学を…

『ブラック・ダリア』 ジェイムズ・エルロイ

第二次世界大戦が終わって間もないころ、元ボクサーのバッキー・ブライチャートは、同じく元ボクサーでロス市警セントラル署巡査部長リー・ブランチャードのパートナーとして、ミラード警部補の下で捜査にあたっていた。バッキーと、リーは警察内部のボクシ…

「煉瓦を運ぶ」 アレクサンダー・マクラウド

同じシリーズだし、マクラウドという名前だし、もしやと思って手に取ったら、帯にちゃんと書いてあった。あのアリステア・マクラウドの息子である。アリステア・マクラウドは、好きな作家の中でも特別な位置にいて、同シリーズから刊行されている三作はどれ…

『人形つくり』 サーバン

まず文章がいい。翻訳でこれだけの味が出せるのだから、もとの英文もきっと雅趣あふれる文章に違いない。1951年刊「リングストーンズ」、53年刊の「人形つくり」の中篇二作が収められている。どちらも、幻想文学の本道を行く格調高い作風で、この種のものを…

『背信の都』上・下 ジェイムズ・エルロイ

1941年12月6日。いうまでもなく日米開戦前夜のアメリカ、ロサンジェルス。日系二世の市警鑑識官アシダは、自作の写真撮影装置を取り付けたばかりのドラッグストアで強盗事件に遭遇する。現場で捜査能力の高さを見込まれたアシダはその後に起きた日本人家族四…

『テラ・ノストラ』 カルロス・フェンテス

[rakuten:neowing-r:11892333:image] 冒頭の老婆の突然の出産に象徴される現代パリでの出来事が異様すぎ、これはSFなのか、それとも何かの寓話なのだろうか、と混乱をきたしそうなので、小説に限らず映画でも絶対はじめから順に見ていくのだ、という強いこだ…