marginalia

読んだ本の話や一緒に暮らす猫のこと、それと趣味ではじめた翻訳の話など。

2017-06-25から1日間の記事一覧

『私の名前はルーシー・バートン』エリザベス・ストラウト

くせになりそうな作家だと思う。自室に独りでいる自分の傍らに来て、低い声でぼつぼつと語りかけられているような、よほど親密な仲なら構わないが、そうでもない場合にはちょっと距離を置いた方がいいのではないか、と思わせるような、内心に秘かに隠されて…

『大いなる眠り』註解 第八章(4)

《それは警官ではなかった。警官なら今頃まだここで、死体の場所を示す紐やチョーク、カメラ、指紋採取用粉末、安葉巻などを手に動き回っている最中だ。人っ子一人いないではないか。殺人犯でもない。彼の逃げ足は速かった。彼は娘を見たにちがいないが、自…