marginalia

読んだ本の話や一緒に暮らす猫のこと、それと趣味ではじめた翻訳の話など。

2018-05-07から1日間の記事一覧

『最後の注文』グレアム・スウィフト

ロンドンのバーモンジーにあるパブ、馬車亭のカウンターに男が三人座っている。黒いネクタイをした小男がレイ。赤ら顔の男がレニー。やはり黒いネクタイをしてボール箱を抱えているのがヴィックだ。そこにロイヤル・ブルーのベンツで乗りつけてきたのがヴィ…

『大いなる眠り』註解 第二十四章(1)

《アパートメント・ハウスのロビーは、この時間空っぽだった。私にあれこれ指図するガンマンも鉢植えの椰子の下で待ち受けてはいなかった。私は自動エレベーターで自分のフロアに上がり、ドアの後ろから微かに漏れるラジオの音楽に乗って廊下を歩いた。私は…