marginalia

読んだ本の話や一緒に暮らす猫のこと、それと趣味ではじめた翻訳の話など。

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『さらば愛しき女よ』を読み比べるー第18章(6)

―フィネガンの足のような寒気、というのは― 【訳文】 《女は私の膝の上にしなだれかかった。私は顔の上に屈み込んで眼で舐めまわした。彼女は私の頬に蝶がキスするように睫を震わせた。唇を合わせたとき、彼女の唇は半開きで燃えていた。歯の間から舌が蛇の…

『さらば愛しき女よ』を読み比べる―第18章(5)

―ドレスが首のあたりまでめくれ上がったのには理由があった― 【訳文】 《「男はリンの座っている側に近づくとすぐに、スカーフを鼻の上まで引っ張り上げ、銃をこちらに向け『手を挙げろ』と言った。『おとなしくしてればすぐに済む』。それからもう一人の男…

『さらば愛しき女よ』を読み比べるー第18章(4)

―どんなドレスを着たら、裾が首のあたりまでまくれ上がるものだろう― 【訳文】 《「ニュートンはいいでしょう」私は言った。「ギャングとつるむようなタイプじゃない。当て推量に過ぎませんが。フットマンについてはどうですか?」 彼女は考え、記憶を探った…

『さらば愛しき女よ』を読み比べるー第18章(3)

18-3 【訳文】 《「何だろう、このお上品な飲み方」彼女はいきなり言った。「さっさと話に入りましょう。にしてもあなた、あなたみたいな稼業にしちゃ、ずいぶん様子がいいのね」「悪臭芬々たる仕事です」私は言った。「そんな意味で言ったんじゃない。お金…

オープン・ガーデン

南伊勢町に無料開放している庭があって、今ササユリが見頃だ、という話を妻が聞きつけてきた。ボランティア仲間との作業に忙しいのは大変だが、こういう情報交換のお土産がある。なんでも、土日月だけの公開で、今日を逃すと来週はもう見られないという。 そ…