marginalia

読んだ本の話や一緒に暮らす猫のこと、それと趣味ではじめた翻訳の話など。

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『さらば愛しき女よ』を読み比べるー第35章(1)

<gangster mouth>だが、「やくざっぽい口元」とはどういうものか? 【訳文】 《二十五セントにしては長い航海だった。古いランチを塗り直し、全長の四分の三にガラスを張った水上タクシーは、碇を下ろしたヨットの間を通り抜け、防波堤の端に広く積み上げた…

『さらば愛しき女よ』を読み比べるー第34章(2)

<Play the hunch>は「直感で行動する」の意味だ。さてどう訳す? 【訳文】 《私がその男を見つけたのは白いバーベキュー・スタンドだった。長いフォークでウィンナーを突っついていた。まだ春先だというのに彼の商売は繁盛しているようだ。彼の手が空くま…

『さらば愛しき女よ』を読み比べるー第34章(1)

<disappear into~>は「~の中に紛れ込む」。姿を消すことだ。 【訳文】 《海沿いのホテルのベッドに仰向けに寝ころび、暗くなるのを待った。海に面した小さな部屋でベッドは硬く、マットレスはそれを覆っている木綿の毛布より少しだけ厚かった。スプリン…

『さらば愛しき女よ』を読み比べるー第33章(3)

<out on the water>が「海に浮かんだ」? 船が海に浮いていないでどうする 【訳文】 《「あいつはマリファナ煙草をさばいてるとばっかり思ってた」彼は忌々しそうに言った。「それなりの後ろ盾を得てな。しかしあんなのは三下の小遣い稼ぎだ。何程にもなら…

『さらば愛しき女よ』を読み比べるー第33章(2)

<I was just telling you>は「だから言ったじゃないか」 【訳文】 《ヘミングウェイはハンドルから手を放し、窓から唾を吐いた。「なかなか素敵な通りだと思わないか? 快適な家、きれいな庭、住みよい気候。あんたも悪徳警官についていろんなことを聞いて…