marginalia

読んだ本の話や一緒に暮らす猫のこと、それと趣味ではじめた翻訳の話など。

伊賀路迷走


MIHOミュージアムで開催中の「神仏います近江」展に出かけた。滋賀県にある三つの美術館、博物館が連携して近江に残る仏像、仏画、神像等の名品を展示する美味しい企画である。全部一度に行くのは大変なので、今回はMIHOミュージアム『天台仏教への道』展を見つつ、島ヶ原の温泉につかろうという計画。

三連休の中日。三日とも晴天という行楽日和。名阪国道までは高速利用だが、あとは下道。新名神信楽まで行っていたことを思うと民主党の「高速無料化」のかけ声倒れがうらめしい。

とはいえ、以前はこの道で行っていたのだから、行っていけないことはない。紅葉には少し早めだが、秋の近江路には尾花の穂も開きはじめ、すがすがしい秋空が広がっていた。

壬生野で25号を下り、一路信楽へ。陶器祭の開催中で市内は渋滞していたが、美術館は、まだ開館したばかりで、いつも早々に売りきれとなる麺麭も焼きたてを買うことができた。ここの天然酵母の麺麭は、歯応えがしっかりしていて実に美味である。

さて、お目当ての企画展だが、千手菩薩の両脇から出ている無数の手の表現に圧倒されてしまった。また、百済寺弥勒菩薩半伽思惟像も小さいながら優雅な仏様で、かつて訪れた百済寺を思い出しながら、あのお寺の中にこの仏様がいらしたのか、となんだか懐かしく思い出されたことであった。

お昼をやぶっちゃの湯で、と思って早めに美術館を出たのだったが、なんと、今回はナビを外してから初めての遠出だった。百円均一セールで買った古い道路地図には地方道を示す黄色の線は引いてあるものの曲がり角の目印がなく、道にも初めはあったやぶっちゃの湯への案内看板も消えて、いつのまにか人っ子一人通らぬような山道の中へ。一歩間違えば谷底へ転落という危険な道をどうしていつも通ることになるのか。我が身の不運を呪いながらも、やっと広い道へ出た。

温泉からの帰り道、往きに通った道を横切った。あそこで右折していたら、あんな山道を通って山越えせずとも楽々温泉に行けたのだった。今度こそは広域版でなく近畿地方程度にしぼった道路地図を携行しようと心に誓うのであった。