marginalia

読んだ本の話や一緒に暮らす猫のこと、それと趣味ではじめた翻訳の話など。

御城番屋敷


松阪市にある御城番屋敷にはいつか行こうと思いながら、なかなか行く機会を見つけられず、ついつい今日まで来た。明日からは、カーポートの工事が始まり、おちおち家も空けていられないので、今日は松阪にある松燈庵という料亭でランチをとることにした。
松燈庵の近くに御城番屋敷があるらしく、これを機会にそこも訪れようというのがねらいである。ついでに、今朝の朝刊の折り込みチラシにあったラタンの椅子も見てこようという一石三鳥を狙ったもの。ふだんは出不精にしているから出たときは一度に事を処理したいのだ。
十二時に予約したが、妻に催促されるまで時間を忘れていて十一時半に家を出た。ナビがないので、標識を頼りにお城下までたどり着いたが、そこからが分からない。電話で行き方を尋ねてやっとたどり着いた。

松燈庵は古民家をそのまま店にしたもので、さほど広くはないが庭や植栽に往時の佇まいをしのばせる趣きのある料亭だった。事前に千五百円の玉手箱ランチと二千円の松御膳を予約しておいた。二段のお重に小鉢や旬の魚などをあしらった料理は愛らしく女性に人気があるのも当然だと思った。ランチと松御膳のちがいは、お造り(烏賊、赤身、鮭、牡丹海老等)と、デザートの葡萄ゼリーが付くか付かないかだった。お造りは二人で食べてもいいように切り身は二切れずつ用意されていた。妻は、デザートが付いていなかったので、「ちょこっとデザート」(五百円のところ、ランチを注文した人に限り三百円)を追加。プリンとケーキ、和菓子に珈琲がついていた。珈琲は夫がいただいた。少しずつ味見をさせてもらったが、プリンはとても濃厚で美味であった。
食事の後、車を店の駐車場に置かせてもらい、御城番屋敷へ。石畳を挟んで向かい合うように建つ長屋がつづく。お城に近い一軒だけが公開されていた。中に入ると思った以上に広く、長屋といっても町人のそれとはちがう。長屋形式の武家屋敷街というのは、全国でもここだけという。概観はそのままに中の方は今風に改築され今でも住居として使われている。住んでみたいという人が多いらしい。
お目当ての家具屋も見つけ、ラタンのリクライニングチェアとテラス用の化学繊維をラタン代わりに使った椅子と二脚を購入。147の後部座席を倒し、パズルをはめ込むようになんとか押し込んで帰宅した。家に帰るやいなやラタンのリクライニングチェアを荷ほどきした妻は、早速横になり、うっとりと目を閉じた。日本旅館の窓際の板の間に置くのが似合いそうな和モダンな一品である。残暑の午後はこれでシェスタと決めた。