marginalia

読んだ本の話や一緒に暮らす猫のこと、それと趣味ではじめた翻訳の話など。

Days of Copen final

 

f:id:abraxasm:20181024235514j:plain

今日、コペンが陸送で次の持ち主の待つディーラーに運ばれていった。思えば、二〇〇四年に我が家に来てから十四年。ずいぶん長いつき合いだった。コペンは妻の車である。前のローバー114が壊れ、次に同じ車を中古で買ったが今一つ調子が悪く、四日市にある工場まで足を運んだものの、調子は戻らなかった。

仕方なく次の車を捜したが、自分の車に愛着を持つ妻の気に入る車はなかなか見つからなかった。そんな時、私の目に留まったのが、軽自動車ながら、アクティブ・トップというルーフが格納できる仕組みを持つコペンの存在だった。もとより、妻にオープン・カーという選択肢はない。しかし、一度乗ればその面白さに気づくはず。そう思って試乗に連れ出したところ、見事にはまった。

試乗コースの途中で屋根を開け、フル・オープンで走ってみたら、その楽しさに一度で参ってしまった。これに決めた、というわけでセカンド・アニバーサリーの特別仕様、momoのステアリングにタン・レザーのシートがついたブリティッシュ・レーシング・グリーンのコペンが家に来たのだった。

それからは、妻が動いた。関西、東海のコペン・オーナーのグループに連絡を取り付け、各地で行われるオフ会に参加した。もちろん、当地にも来ていただいて、温泉、グルメを楽しむこと幾たびか。いつのまにか、多くの仲間を得て、ツーリングにBBQ,、日帰り旅行と、今まで知らなかった楽しみを教えてもらった。何故かは知らないが、どの人もみな感じがよくて、友達の輪が広がっていった。

そうこうしながら、十四年がたった。我が家のコペンはまだまだ現役で行けたのだが、仲間は、走行距離が家のとは違う。次々とコペンを手放し、ロードスターや660へと乗り換えが相継いだ。そんな時、私の車が壊れ、愛車を手放すことになった。アルファロメオ147からアウディA3へと乗り換えたのだが、十余年の月日は長かった。車は驚くべき変化を遂げていた。安全性が格段に進歩していたのだ。

息子の車もデミオに変わると、妻の車の旧態依然としたところが気になりはじめた。それで、新車の購入を考えはじめたのだった。妻にしても、歳を考えるともう少し時代にそぐう車がいいと思うようになった。それから何台もの車を試乗してきたのだが、結論から言えばみな大きすぎる。ローバーminiから114へと乗り継いできた妻にとって、今の車は大きすぎるのだ。

私が見つけてきたのは、ルノーtwingo。スマートとスペックを共有するスモール・カーである。これが気に入らなければ、新コペンしかない。そう考えながら名古屋まで行って試乗してみた。悪くない。その帰り、ダメもとで訪れたルノー四日市にあったのが同じtwingoながらGTだった。試乗してみたところ、そのフィーリングは上々。妻の気に入った。その場で車を押さえてきた。

十一月の第二週には新車がやってくる。車の楽しさを教えてくれたのはコペンだった。フル・オープンのドライブの醍醐味は今も忘れられない。しかし、あれから十四年、いつまでもそんな乗り方をつづけるのは無理というもの。ドライブ・フィールは残しながら、新しい車との付き合い方を考える時が来ている。twingoも楽しい車だ。屋根は開かないが、きっと運転の楽しさは教えてくれるに違いない。次のご主人とあのコペンの相性がいいように、今は祈っている。有難う、コペン。Days of Copenについては以下より蒼穹の回廊 旅行記