2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧
いきつけの喫茶店に入って、いつもの席につきコーヒーを飲む。日常の何気ない、けれどそれがきまりになっているらしい律儀さで、ほぼ毎日のルーティン・ワークになっている。そんな店で飲むいつものコーヒーのような味わいの一冊である。エッセイ集と呼ぶの…
「《ぼく、フエリックス・アラールは四十八歳で、パリ三区、アルクビュジィエ通り三番地に住んでいる……》他の人々の遺書でのように、こうつけ加えるべきか、《心身ともに健康》?」冒頭から不穏な事態がほのめかされている。「遺書」?それでは、出す相手の…
解説から先に読まないこと。よく分かる解説だが、せっかくの作家の工夫がだいなしになってしまう。リョサの多くの作品がそうであるように、この小説でも複数の話者が脈絡もなく代わる代わる登場しては、てんでに自分の生い立ちや家族関係、友人関係などを語…