marginalia

読んだ本の話や一緒に暮らす猫のこと、それと趣味ではじめた翻訳の話など。

2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『大いなる眠り』第2章

マーロウは、執事に導かれて温室に向かう。スターンウッド将軍がそこで待っていた。マーロウは熱帯を思わせる温室の温気に悩まされながら話を聞く。We went out at the French doors and along a smooth red-flagged path that skirted the far side of the …

『はい、チーズ』カート・ヴォネガット

2007年に84歳で亡くなったカート・ヴォネガットの未発表短篇集である。SFや、ショート・ショートでよく使われるような、ちょっとしたアイデアを、丹念に育てあげ、ユーモアをまぶし、思いっきり捻りをきかせて、ストンと落とす。サプライズ効果満載のエンタ…

『大いなる眠り』第1章

" It was about eleven o’clock in the morning, mid October, with the sun not shining and a look of hard wet rain in the clearness of the foothills.”<十月の半ば、午前十一時頃のこと。日は射さず、開けた山のふもとあたりは激しい雨で濡れているよ…

第53章

テリー・レノックスはメキシコで整形手術を受けていた。北方系の特徴である高い鼻を削ることまでして全く別人のように見せていたが、眼の色だけは変えられなかった。正体を現したレノックスはすっかりくつろいだ様子で経緯を語り始める。マーロウの推理は当…

第52章

スターの紹介状を持ってマーロウのオフィスを訪ねてきた男は、シスコ・マイオラノスと名乗った。マーロウは、早速レノックスの最期について質問した。そのときの客のなかにアメリカ人は二人いたという。“ Real Gringos or just transplanted Mexicans? ”清水…

第51章

マーロウは、気になっていることを確かめるために弁護士のエンディコットのオフィスを訪れた。冒頭、マーロウの目が捉えたオフィスの描写が入る。年代物の机に革張りの椅子、法律書と文書が溢れたいかにもやり手の弁護士の事務所といった様子である。“ the u…