marginalia

読んだ本の話や一緒に暮らす猫のこと、それと趣味ではじめた翻訳の話など。

2018-08-21から1日間の記事一覧

『大いなる眠り』註解 第三十章(4)

《「ところで、私に何の落ち度があるというんです? 一切を任されているノリスはガイガーが殺されてこの件は終わった、と考えたらしい。私はそう思わない。ガイガーの接触の仕方には首をひねったし、今でも考えている。私はシャーロック・ホームズでもファイ…

『文字渦』円城塔

中島敦に『文字禍』という短篇がある。よくもまあ同名の小説を出すものだ、とあきれていたが、よく見てみると偏が違っていた。『文字禍』は紀元前七世紀アッシリアのニネヴェで文字の霊の有無を研究する老博士ナブ・アヘ・エリバの話だ。同じ名の博士が本作…