marginalia

読んだ本の話や一緒に暮らす猫のこと、それと趣味ではじめた翻訳の話など。

2017-06-03から1日間の記事一覧

『中動態の世界』國分功一郎

この本は、ハイデッガーやアレントはもとより、デリダにラカン、フーコーにドゥルーズ、と有名どころを次々と繰り出しては、能動と受動という二つの対立以前に在った「中動態」という態の存在をあぶりだすことを目的として書かれている。聞きなれない名前だ…

『大いなる眠り』第七章(4)

《私は彼女を見るのをやめてガイガーを見た。彼は中国緞通の縁の向こうに、仰向けに倒れていた。トーテムポールのような物の前だ。鷲のような横顔の、大きな丸い眼がカメラのレンズになっていた。レンズは椅子の上の裸の娘に向けられていた。トーテムポール…