marginalia

読んだ本の話や一緒に暮らす猫のこと、それと趣味ではじめた翻訳の話など。

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『湖中の女を訳す』第十八章(1)

<Come and see my etchings>は「ちょっと家に寄らないか」という誘い文句 【訳文】 アスレティック・クラブは、通りをはさんだ四つ辻の角にあった。トレロア・ビルディングから半ブロックほど行ったところだ。私は通りを北に横切って入口に向かった。以前…

『湖中の女を訳す』第十七章(2)

香水についても詳しくないと、私立探偵はつとまらない。 【訳文】 「ろくでなしめ」彼は声を低くした。「あいつはあれを見限ったんだろう」「そいつはどうかな」私は言った。「あなたにとっては動機が不充分だったんじゃ、文明人だからという理由でね。でも…