marginalia

読んだ本の話や一緒に暮らす猫のこと、それと趣味ではじめた翻訳の話など。

答志島温泉に行ってきました。

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今日は長男の仕事が休みということで、趣味の離島行きに誘われた。島のいきのいい寿司を食べ、温泉につかるという。妻が乗り気だというので慌てて支度をした。といっても、たかが知れている。替えの下着、靴下とタオルを用意するだけのことだ。船の出る時間が迫っているので、息子の車で鳥羽の佐田浜まで走ることにした。免許は持たなかった。運転しないときはビールくらいは飲みたい。

市営駐車場に車を停めた。船着き場が、ひと昔前とは全く様子がちがっている。以前は海だったところが埋め立てられ、桟橋が新しくなり、まるでしゃれたハーバーのようだ。市営定期船もずいぶんおしゃれになって、まるで観光船のようである。十一時五十分佐田浜発。乗船時間約二十分で、目的地である答志和具に着く。

まずは、島に一軒だけという寿司屋さんへ。長男は何度か来ているので顔見知りになっていた。妻と私は海鮮丼、息子は握りとトロ鰆を別に注文。話に聞いてはいたが、本当に海老が鮨桶の中で跳ねるので驚いた。活きがいいなどという範疇を超えている。車海老は頭だけになっても頭をもたげてくる。頭の部分は後で別に焼いてくれた。噛むと口中に濃厚な海老味噌が溢れ出し、舌を火傷しそうになった。

海鮮丼というが、シャリは酢飯なので握り用のネタを細かく切らずにそのまま放り込んだちらし寿司みたいだった。ビールと一緒にいただいて、すっかり満足した。カウンターに椅子五脚、四人掛けのテーブル席が三つというこぢんまりした店だったが、船が着くのと同時にほぼ満席状態になっていた。もっとも、それから新しく客が来ることはなく、ちょうどいい塩梅になっているのに感心した。次の船の時間にはまた新しい客が入るのだろう。

海岸沿いの道を歩いて、答志島温泉へ向かう。何年か前に掘り当てた温泉らしい。小高い丘の上に立つ旅館で日帰り温泉に入らせてもらう。浴場は二階だが、高台に建っているので、眺めは抜群(写真)。真正面に菅島が眺望できる展望露天風呂は、ぬるめの湯でいつまででも浸かっていられる温度だった。眼下には砂浜が広がり、その横におそらく海水だろう、プールもあった。高い椰子の木が植えられ、ちょっとしたリゾート地の雰囲気を漂わせている。

左手には神島が手が届きそうに見えている。すぐそこにあるように見えているが、鳥羽からは約一時間船に乗らなければたどり着けない。答志や桃取までは、島が風よけになってくれるが、そこを越えると伊良湖水道の真っただ中を行くので、急に波風が高くなる。夏場はまだしも、冬ともなれば定期船は大きく揺れる。波の荒い日には、船は波の上まで揺り上げられ、窓から空が見えたかと思うと、一気に波の底まで滑り落ち、生きた心地がしない。

とはいえ、今は波も静かで、船もたいして揺れはしない。午後二時二十八分発の船で帰途についた。帰りの船はかつて巡行していたのと同様の鳥羽丸。先に行っていた妻が「気持ちいいよ」というので甲板に上がってみた。波はおだやかで、手すりに凭れていても、潮風が髪をなぶるばかり。積み雲が湧きあがり、空港へと行き来するジェット機の飛行機雲が青空に白い線を引いている。日はまだ高い。いい気分だ。