marginalia

読んだ本の話や一緒に暮らす猫のこと、それと趣味ではじめた翻訳の話など。

2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

第19章

19章の書き出しはこうだ。“I drove back to Hollywood feeling like a short rength of chewed string.”清水訳では「私は車を走らせて、ハリウッドへ戻った」。後半部をあっさり飛ばしている。村上は、その部分を「くたびれ果てた身体で、」と訳している。「…

ひまわりの湯

ひまわりの湯というのは、志摩スペイン村内にある温泉施設である。わりと近くにあるのだが、入湯料が1000円もするので、今まで行ったことがなかった。半額で入れる割引券が手に入ったので、出かけることにした。我が家からは、鳥羽回りパールロード経由とい…

ひまわりの湯

ひまわりの湯というのは、志摩スペイン村内にある温泉施設である。わりと近くにあるのだが、入湯料が1000円もするので、今まで行ったことがなかった。半額で入れる割引券が手に入ったので、出かけることにした。我が家からは、鳥羽回りパールロード経由とい…

第18章

マーロウはVの字で始まる名前を持つ三人目の医師、ドクター・エイモス・ヴァーリーを訪ねた。前二人の医者とちがって、ドクター・ヴァーリーは裕福そうだった。広い敷地に大きな古い樫の木が涼しい陰を宿す、豪壮な屋敷が建っていた。張り出し屋根を飾る“ela…

『LAヴァイス』トマス・ピンチョン

ピンチョンが2009年に発表した最新作だが、背景となる時代はなぜかシックスティーズ。『ヴァインランド』からピンチョンを読み始めた評者のような読者には、懐かしい古巣に戻ったような思い。50年ぶりに再結成されたビーチボーイズは、相変わらずブライアン…

ウィンドウ・レギュレイター

妻が、「あきのの湯」で、医療用マッサージャーのお試しにつかまったことはすでに書いた。そのときはよかったのだが、数日してから背中が痛いと言い出した。どうやら、筋か何かを傷めたようだ。入浴後、塗り薬を塗布すると、少しはよくなるのだが、なかなか…

ウィンドウ・レギュレイター

妻が、「あきのの湯」で、医療用マッサージャーのお試しにつかまったことはすでに書いた。そのときは、よかったのだが、数日してから背中が痛いと言い出した。どうやら、筋か何かを傷めたようだ。入浴後、塗り薬を塗布すると、少しはよくなるのだが、なかな…

『股間若衆』 木下直之

『世の途中から隠されていること』を読んで以来、この人の書くものには注目してきた。ただ、今回の著作にはいささか唖然とさせられた。『股間若衆』とは。すでにお気づきの方もおられようが、仮名で書けば「こかんわかしゅう」。そう、「古今和歌集」のもじ…

『災いの古書』ジョン・ダニング

もと警官で現在は古本屋を営むクリフ・ジェーンウェイが主人公のシリーズ物第四作。インターネットが普及し、特に経験がなくとも金さえあれば誰でも本を扱えるようになった。各地の古本屋に足を運び、自分の目で掘り出し物を探し当てては店に出す。そんな商…

『失われし書庫』ジョン・ダニング

元刑事で、今はデンヴァーで古書店を営むクリフ・ジェーンウェイを主人公とする古書ミステリシリーズ三作目。二作目の活躍で、思わぬ大金を手にしたクリフは、リチャード・バートンの稀覯本を競り落とす。ところが、それを聞きつけた老嬢がクリフの店を訪れ…

第17章

第17章のマーロウはセパルヴェダ・キャニオンから町へ帰ってきて食事にありついたところ。コーヒーを飲みながら、Vという頭文字ではじまる三人の中からウェイドを匿っているもぐり医者を探すことの難しさを感じ始めていた。その難しさを博打にたとえる「Vで…

第16章

第16章の舞台は、牡猫を思わせるユーカリ独特の匂いに満たされ、死んだように静かなセパルヴェダ・キャニオン。マーロウが愛用のオールズモビルで向かったのはVの頭文字ではじまる三人のもぐり医者の一人ドクター・ヴェリンジャーの経営する芸術家コロニーだ…

あきのの湯

全国の日帰り温泉を 紹介する雑誌のひとつに「温泉○士」なるものがある。たまたま、近所の温泉についてネットで調べていた妻が、その温泉が雑誌に紹介されたので、今月号を 持っていくと無料になるという記事を見つけた。さっそく本屋に電話をすると在庫があ…

類語辞典

言葉が出にくくなった。ひと頃なら、思い出そうとする努力もなしに、言葉があふれ出してきたものだが、昨今では何かを言おう、書こうとすると、まず心に浮かんだことを言い表す言葉を見つけなければならない。努力を怠れば、いつも同じ言い回しの繰り返しに…

『みみずく偏書記』

由良君美といえば、今では、その著書もほとんど絶版となっているが、70年代怪奇幻想文学の一時的なブームが起こったとき、仏文学の澁澤龍彦、独文学の種村季彦と並び、英文学の先達として脚光を浴びた一人。代表作に『椿説泰西浪漫派文学談義』がある。もと…